■ 応募点数/171点 ■ 応募者数/76名
■ 入賞作品/28点
■ 審査/写真家・百々俊二 写真家・内山りゅう
アートディレクター・猪熊裕行
匠の聚フォトコンテストは、「あなたが捉える川上村の魅力」と題し、平成24年度から撮影地を「奈良県・川上村 」に限定させていただきました。昭和34年9月に襲った 伊勢湾台風を機に、半世紀余りの歳月を経て今年3月に大 滝ダム(ダム湖名:おおたき龍神湖)が完成し、川上村は ダム後の村づくりとして新たなスタートを切りました。 ダムと共生しながら自然豊かな森を守り、綺麗な水を下流 の人々に届け続ける「水源地の村づくり」に取り組んでい ます。これからは源流に暮らす者としてその責任をしっか りと果たし、川上村の想いを発信し続けていかなくてはな りません。故に当コンテスト開催意義は大きく、多数の力 作をお預かりさせていただけることは非常に刺 激的であります。今後も撮り手の皆様方と一緒にその想い を共有しながら水の流れのように大勢の方々にメッセージ を発信していきたいと考えています。 今回もたくさんのご応募の中から入賞作28点を選出させ ていただきました。 ご応募いただきました皆様方をはじめ、当コンテストにご 賛同・ご協力いただきました関係者各位にあらためまして 厚くお礼申し上げます。
主催/川上村・匠の聚・森と水の源流館
後援/川上村観光協会
協賛/富士フイルムイメージングシステムズ株式会社・株 式会社トミカラー・株式会社写真工房匠
協力/奈良ヤクルト販売株式会社・NTT労働組合奈良県 グループ連絡協議会
一般社団法人やまと文化フォーラム (順不同)
■ 審査員講評(総評/要約)
● 写真家・百々俊二
10年以上に渡りこのコンテストの審査をさせていただい ていますが、構造的にはあまり変わっていないですね。
フレーミングの仕方だとかテクスチャだとか表現力という 部分ではデジタル化に伴ってすごくレベルが上がってきて いますが、表現構造という部分でいつも似ているように思 います。そこに「破綻が無い」からこそ作品が良く似てく るのだと思います。私の言う「破綻が無い」というのは、 例えば絵はがき写真やカレンダーなど世の中に流通する一 般的にすぐに使えそうなもののレベルにはあるけれど、ひ とりの人が見た肉声というようなものが少し伝わりにくい というようなものです。期待するのは川上村に何度も訪れ て、自然の風土や人と触れ合って自分の視座を見つけてく れると良いなと思います。祭りであれば祭りの時に来て、 行事を見て終わるというものではなく、日常の暮らしの中 でしか見えないようなものを見つけて欲しいと思います。 そうすると構造的にもっと色々なものが出てくるだろうな と思います。
今後視点というものがどういうものに注がれていくかということが問われてくるし大事になってくると思います。
● 写真家・内山りゅう
初めての審査でしたが非常に面白かったです。ただ少し残 念なのは、本来川上村はすごく深い場所であるにも関わら ず、撮影地を川上村に限定したことも影響したのか、同じ 撮影スポットが非常に多かったことです。カメラ機材は重 いので大変だとは思うのですが、「人と違ったアングルを 探そう」、「行ったことのない所に行こう」と
いうようにして川上村を察して欲しいと思いました。地元 の人や私たち審査員も「えっ!こんなところあったの?」 というような作品が出て来てくれるとうれしいですね。それと、はじけた作品が無いですね。アマチュアだったら、 魚眼で突っ込むとか、画面構成もへったくれもないような 思い切った構図みたいなものが無いですね。みんな同じレ ンズや角度で撮るので作品が似てくるのだと思います。ア マチュアだからこそ固くならないでもっと遊べば良いと思 います。綺麗だということでシャッターを切ることは写真 の原点だと思いますが、もう一歩踏み入れたところで、美 しいけどこれを言いたいというようなものがあると響くも のがあると思います。全体的にレベルは高いと思いますし 、このコンテストの歴史が感じられるものでした。
● アートディレクター・猪熊裕行
私も長く審査をさせていただいていますが、毎回似た作品 が多いというのが正直な感想です。アマチュア写真にも段階があると思いますが、今までの構図を練習しながらステップアップにつなげて欲しいと思います。主催者も出品さ れる方をもっと育ててあげられるような環境づくりを心掛 けていただきたいと思います。それと今回特に気になった のが色です。より鮮やかにプリントする方が多くて特に緑 の色に違和感を覚えました。自分でプリントして色の再現 をきちんとできなければ深みが無く、新緑の緑はこの色ですというようなものが端的に出てきてしまいます。本来プリントする際にきちんと伝えないといけないですし、仕上 がりが不自然だと焼き直しをしなければいけません。あく まで作品なのでプリントにも時間かけて色を見て、人任せ にしないように心掛けてほしいと思います。
特にデジタルの場合は基準があやふやになりがちです。モニターやプリントでも見える色は変わります。撮った人が 責任をもって追いかけないといけないと思います。また毎回のことですが、鳥や魚などの外来種が依然として多かっ たことも気になりました。もう少し本来の自然の姿を勉強して応募されるべきというところもあるのかなと思います 。